イラク、劣化ウラン弾

講演:劣化ウラン弾の危険性訴え イラク派兵元米兵、自らの被ばく証言 /福岡
 イラク戦争に参加した元米兵、ハーバート・リードさん(52)が10日、中央区の教会で講演し、約100人を前に劣化ウラン弾の危険性を訴えた。リードさんはイラク戦争開始直後の03年4月、サマワに派遣され、負傷の治療のため6月に帰国。同年11月に受けた尿の劣化ウラン汚染検査で陽性の結果が出た。今年2月には甲状腺腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けている。
 リードさんは「イラクは91年の湾岸戦争で米英が使った劣化ウラン弾によって汚染されている」と指摘し「同僚9人に血尿、血便、関節障害、視力障害、発疹(ほっしん)など共通の症状が出たが、米政府は検査もせず『安全だ』の一点張りだった」と証言した。
 その上で、サマワに派遣された自衛隊員について「日本政府も検査の必要はないとしているそうだが、帰国後24時間以内の検査が必要だ」と警告。「ベトナム戦争での枯葉剤被害を米政府は30年過ぎて認めた。劣化ウラン弾イラク戦争における『枯葉剤』。今認めさせなくてはならない」と訴えた。【上野央絵】
〔福岡都市圏版〕
8月11日朝刊

劣化ウラン弾、嘉手納基地に40万発 情報公開で明らかに
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-15938-storytopic-1.html
 2001年当時、米軍嘉手納基地に約40万発の劣化ウラン弾が貯蔵されていたことが、米情報公開法に基づき米空軍の公開した資料で明らかになった。沖縄の劣化ウラン弾については2000年5月に嘉手納基地の米空軍第18航空団司令官が嘉手納弾薬庫内に貯蔵していることを明らかにしたが、具体的な保管数が明らかになったのは初めて。
 情報公開請求では、米ハワイ州の米平和団体のカイル・カジヒロさんが01年2月、米太平洋軍の劣化ウラン弾の全記録を請求した。同年8月に米空軍が、嘉手納基地と韓国烏山(オサン)空軍基地の記録として公開した。
 嘉手納基地は本紙の取材に対し、在日米軍の見解として特定の弾薬の量や保管場所は話せないと断った上で「航空機や戦車、艦船のいくつかの兵器で劣化ウラン弾を使用できる。これは劣化ウラン弾を使っていることを意味しない。劣化ウラン弾は訓練では使用していない」と回答し、取り扱いに当たって安全確保に努めているという姿勢を強調した。
 2000年5月当時、司令官が記者団に対し嘉手納弾薬庫内にある580カ所の倉庫うち1カ所に劣化ウラン弾が貯蔵されていると明らかにしていた。
2006/8/2 16:07

沖縄タイムス
社説(2006年8月4日朝刊)
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20060804.html
劣化ウラン弾
貯蔵基地にしてはならぬ
 米軍嘉手納弾薬庫に二〇〇一年当時、約四十万発の劣化ウラン弾が保管されていたことが米国の情報公開法に基づく米空軍の資料で分かった。
 さらに、米太平洋空軍は〇三年八月「ハワイなどの米国領内には劣化ウラン弾を保管していない」と述べ、嘉手納のほか韓国のオサン、スウォン、チョンジュの三空軍基地に貯蔵していることを明らかにした。
 二〇〇〇年五月、当時の嘉手納基地第一八航空団のジェームス・スミス司令官は、同弾薬庫にある五百八十カ所の倉庫の一カ所に劣化ウラン弾が貯蔵されていることを認めていたが、具体的な貯蔵量が明らかになったのは初めてである。
 劣化ウラン弾は、対戦車用に開発され、湾岸戦争で初めて実戦に使われた。その量は、約八百トンに上るといわれている。
 放射性物質の影響で、帰還米兵に白血病やがん発症率が高い。イラクでも、劣化ウラン弾被爆白血病に苦しむ子どもたちが年々増え続けている。
 その劣化ウラン弾が、沖縄や韓国で保管され、湾岸戦争で使われた可能性が今回の情報公開資料で極めて高くなった。
 しかし、米国は帰還米兵の奇病を劣化ウラン弾が原因とすることを認めていない。ウラン濃縮の過程で出る低レベルの放射能物質でつくる劣化ウラン弾は「核兵器ではない」とも主張している。
 嘉手納弾薬庫への貯蔵を明かしたのも日本の「非核三原則」に抵触しない、との判断からだろう。
 ただ、現在も嘉手納弾薬庫に保管されているかどうかについて、防衛施設庁は「米軍は弾薬の数や移動の有無を一切、明らかにしていないため把握していない」としている。
 県内では米軍が空対地射爆撃訓練を実施している無人島の鳥島射爆撃場で、米海兵隊が一九九五年十二月から翌九六年一月にかけ、千五百二十発の劣化ウラン弾を誤って使用し、その存在がさらけ出された。
 当然今も、保管され続けているものと疑ってかかるしかあるまい。
 嘉手納弾薬庫は、イグルー(覆土)式の倉庫が数多く、核兵器を取り扱う能力を持つ第一八航空団所属の第一八弾薬中隊も配備されている。
 嘉手納弾薬庫に核を扱える部隊や施設がある以上、劣化ウラン弾とともにNBC(核・生物・化学)兵器も貯蔵されている疑いは尽きない。
 沖縄を「核の貯蔵基地」にしないために県は、事実関係を検証していく義務がある。